松居慶子の知名度は、日本よりもむしろアメリカでのほうが高い。彼女は日米を股にかけて活躍する世界的なアーティストであり、全米コンテンポラリー・ジャズ・チャートの常連なのだ。これは98年にアメリカで発売されると、ビルボード誌のチャートでいきなり2位にランク・インした人気作。通算では9作目にあたる作品で、アメリカでは数10万枚売れたベストセラー作品だ。
ポール・テイラーのサックス、夫でありプロデューサーでもある松居和の尺八などを加えた編成で、全曲自作を演奏している。松居慶子の音楽は一般に癒しの音楽といわれるが、本人は「そういうこと、なんにも考えていない。聴こえてきたメロディをひとつの作品にふくらませていくだけ」なのだという。それでも聴いていると、やっぱり心が和んでくる。東洋人ということもまったく意識していないそうだが、彼女の音楽には東洋的な神秘性も感じられる。それも人気の要因だろう。(市川正二)

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